世界選手権をみて
女子シングルスも、男子シングルスも負けたほうの心が途中で折れてしまうという見てるほうが苦しい試合展開でしたね。
でも、これがバドミントンの本質を表しているんだよなぁと思うんですよね。
つまり、バドミントンは上手か下手かを競うスポーツではなくて、うまく相手の心をへし折ったほうが勝ちやすいスポーツなんです。
桃田選手もシー・ユーチ選手の球を全部とれるかというと、たぶん取れないんですよ。でも、打つコースを限定させたり、わざとアウト気味の球を返したり、打たせないといった作戦を組み合わせることで、そう見せているだけだと思うんですよね。
相手がひたすら冷静にプレイし続ければ、鉄壁というのはあり得ないです。チョンウェイ選手にも結構抜かれていましたし。
でも、相手が焦ったところでそういうプレイを見せて、精神的に圧迫していけば、必要以上に相手は攻めを怖がってくれます。そういう見せ方が本当に上手だった試合ですよね。
シンドゥ選手の勝ち筋はあんまり見えないですけど、カロリナ・マリン選手がまったくラリーに付き合う気がないという徹底さがこれまた面白いです。
相手がどう対応しているか迷っているうちに、先手先手で変化を入れながら、同じことを徹底する。これも、心の折り方としては正しいです。
でもよく考えれば、シンドゥ選手はあの展開のまま、ゲーム間のインターバルがあったわけで、そこで先手を打つべきだったんだろうなと思ったり。
2ゲーム目の序盤で大量失点すると、次のインターバルでアドバイスしてもどうにもならないので、あそこがターニングポイントだったんでしょうか。
逆に相手のほうが先手でロブやクリアを入れて、相手のほうが先を読んでいたというところで、冷静さ勝負で負けたのかなとか。
もろもろを考えて、決勝の点差は実力差ではなく、相手に飲まれたか飲まれていないか、そういう心の問題が大きいんじゃなかなと思うんですよね。